自動化の引き継ぎ

「触らなければ動くんです」と言われて、仕事を引き継いだ。

発行:株式会社Yield&Radiant

「基本的には、何もしなくて大丈夫です」

引き継ぎでそう言われると、最初はほっとする。毎週届く依頼をまとめて、一覧にする仕事。前任者が自動で動くようにしてくれたので、担当者は出来上がったものを確認すればいい。手作業が減ったのは、確かにありがたい。

「設定は、あまり触らないほうがいいです」

最後にそう添えられて、もう一度うなずく。触らなければよい。しばらくは、それで困らなかった。

ある週、届いた一覧が空白だったらどうだろう。依頼がなかったのか、途中で止まったのか、見ただけではわからない。もう一度動かす場所はある。でも、押したら同じものが二重に送られないだろうか。

前任者に聞こうとして、少しためらう。もう別の担当になっているし、いつまでも頼ってはいけない気がする。けれど、自分で触って壊すほうが怖い。何もしなくていいはずの仕事を前にして、何もできずに時間が過ぎる。

作った側は、安心して使ってもらうために自動化したのだと思う。細かい仕組みまで説明すると、かえって負担になる。普段は問題なく動くのだから、覚えることを減らして渡そうとしたのかもしれない。

受け取る側が欲しかったのも、すべての仕組みを理解することとは限らない。いつもと違うと気づいたとき、まず誰と話せばよいのか。続けてよいかを、何を見て判断するのか。その足場が欲しかったのではないだろうか。

AIで処理の説明や手順の下書きを整えることもできる。ただ、説明書が長くなるだけでは、この怖さは消えにくい。実際の仕事で、動かさずに待ってよい場面や、別のやり方へ戻す必要がある場面を、作った人と確かめておきたい。

何も起きていない日に、いつもの出力を並んで見る。「ここが空なら確認する」「この先へ送る前に連絡する」。そんな目安を実際の流れに沿って話す。止め方や戻し方が必要なら、担当する人と安全に確認できる場を用意する。

それは、自動化を信用していないからではない。次の人が、異変を見つけた自分の判断まで疑わずに済むようにするためだと思う。

担当者が替わっても続く仕事には、動かす仕組みだけでなく、困ったときに立ち止まれる場所も要る。「触らないで」から、「こういうときは一緒に確認しよう」へ。引き継ぎの最後のひと言が変わるだけでも、受け取る重さは違いそうだ。

YRでは、担当者が替わるときの不安も含めて、業務の流れや確認する役割を一緒に整理します。AIや自動化の仕組みを増やす前に、「今ある仕事を安心して引き継ぎたい」というところからお話しいただけます。

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