AIが見つけたその資料、まだ使っていいんだっけ。
「その案内、去年変わってなかった?」
送る前にそう言われて、開いていた資料を見直す。たしかに見覚えのある文章だ。共有フォルダにも残っているし、ファイル名には「最新版」と書いてある。見つかったときは、これで仕事を進められると思ったのに。
たとえば、取引先に送る納品の案内。受け取りの締め切りや連絡先がまとまっている。社内で利用が認められたAIの検索機能で探したら、知りたかった箇所まで示してくれた。探す手間は減った。ただ、そこに書かれた窓口が今も同じかどうかまでは、まだ確かめていなかった。
古い資料を使いかけた人だけの、不注意とも言い切れない気がする。残した人にも、残す理由があったはずだから。前の対応を振り返るため。問い合わせがあったとき、当時どう案内したかを確かめるため。消してしまうと困る資料もある。
新しい版を作った人は、関係する人へ送ったので、更新は伝わっていると思っていたかもしれない。受け取った人は、そのメールを後で読むつもりだったかもしれない。それぞれは小さなことでも、フォルダの中には、新旧の「最新版」が並ぶ。
AIで答えにたどり着くのが早くなると、資料を探し回る途中で目に入っていた日付や、隣に置かれた訂正のお知らせを、見ずに済ませてしまうこともありそうだ。便利になった入口の先で、情報の置き方が追いついていない。
「詳しい人に聞いてから使って」で済ませると、結局、誰かが毎回資料の年齢を覚えていることになる。その人がいない日には、また止まる。せっかく検索しやすくしたのに、最後は人の記憶を探しに行くことになる。
まず、いつも使う案内を一つだけ、担当する人と開いてみたい。今の仕事では、どれを見ればよいのか。古いものは、どんな場面のために残しているのか。ファイル名だけで見分けられないなら、現在使うものの置き場所や、変更を確かめる相手を共有する。
記録として残すことと、今日の案内に使うこと。その二つが区別できると、古い資料も邪魔者にならずに済む。全員の記憶が揃うのを待つより、次に開いた人が迷いにくい形を少しずつ作れそうだ。
「見つかってよかった」で仕事を再開できるように。検索の速さと一緒に、見つけたあとの安心も整えておきたい。
YRでは、AIを使った情報整理を考える際に、普段どの資料を見て仕事を進めているかも伺います。探す時間は減ったのに、使ってよいか迷う。その一場面から、資料の扱い方を一緒に考えられます。
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