例外と約束

「今回だけ」のはずが、いつもの仕事になっている。

発行:株式会社Yield&Radiant

「前もやってもらえたので、今回もお願いできますか」

そのひと言に、返事が少し遅れる。たしかに、前は引き受けた。でも、あのときは特別だったはずだ。そう思っても、相手にはこちらの「特別」が見えていない。

いつもの納品一覧に、ある取引先のためだけに一枚の表を添える。先方の担当者が替わったばかりで、確認しやすい形が必要だった。困っているなら、と手元で作った表が、次の月にも届くものとして待たれている。そんな場面を考えてみる。

最初に引き受けた人は、無理な約束をしたつもりではなかっただろう。その日は時間もあったし、相手も助かった。いい対応ができたと思っていた。それが今、忙しい月末に残る仕事の一つになっている。

断りたいわけでもない。長く付き合っている相手だし、表が役に立っていることもうれしい。ただ、何も話さないまま来月の仕事まで決まっていく感じに、小さく引っかかる。

社内で「これは毎回必要なの?」と聞かれても、答えに迷う。相手から頼まれた、と言えば、こちらに判断の余地がなかったように聞こえる。自分で始めた、と言えば、余計な仕事を増やしたように思われそうだ。

こうした仕事をAIで整理して、手順書にまとめることも考えられる。けれど、毎月やっているからといって、そのまま「毎月やる仕事」と書いてしまってよいのだろうか。きれいな手順になった途端、続けることまで決定済みに見えてしまう。

先に残したいのは、作り方だけでなく、始まった事情なのかもしれない。誰が困っていて、そのとき何を助けたかったのか。いつまで続けるかは話したのか。そこをたどれば、最初の親切を責めずに、今の負担の話ができる。

相手が今も必要としているなら、無理なく続けられる形を相談したい。もう慣れていて、別の形でも差し支えないかもしれない。どちらなのかは、こちらで決めつけずに確かめるところからになる。

「次回からどうしましょうか」

そう聞くことは、前回の対応を取り消すことではない。そのとき助けたかった気持ちを残しながら、これからの約束を作り直すことでもある。

例外があること自体を、悪いものにしなくていいと思う。ただ、誰かの善意だけで続いているなら、その人が毎月迷わなくても済むようにしたい。

YRでは、日々の業務に混ざっている特別な対応も伺い、続け方や確認先を一緒に整理します。AIで手順をまとめる前の、「これは、いつから毎月になったんだろう」という話からご相談いただけます。

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