AIで仕事が早くなった。その時間は、誰のものだろう。
「これ、前より早く終わるようになりました」
そう言おうとして、少しためらう場面を想像します。毎週つくっている資料。AIを使って下書きを整えたら、いつもより早く仕上がった。内容を確かめる時間も取れた。うれしいはずなのに、報告する直前で、別のことが頭に浮かぶ。
早く終わるとわかったら、そのぶん、また仕事が増えるのかな。
そんなふうに考える人ばかりではないでしょう。新しい仕事を任されたい人もいるし、ずっと後回しにしていたことに手をつけたい人もいる。ただ、今の仕事で手いっぱいだった人にとっては、やっとできた隙間をすぐに埋められるのは、少しつらい。
一方で、会社を動かす側にも、期待があります。毎日の作業に追われてできなかった提案。先延ばしにしてきた改善。AIで仕事を効率化できたら、そこへ時間を使えるのではないか。ようやく先のことを考えられる、と感じるのも自然です。
どちらも、仕事をよくしたいと思っている。それなのに、「時間ができた」という言葉から思い浮かべる景色が、少し違う。
経営者には、新しい取り組みを始める余地に見える。担当者には、昼休みに慌てずごはんを食べられる余裕に見える。いつも気になっていた確認を、落ち着いてできる時間に見える人もいます。
その違いを話さないまま、早くなった分だけ次の依頼が届くと、便利になったことを喜びにくくなります。せっかく見つけた使い方を、人に教える気持ちまで小さくなることもありそうです。
「空いたら何をやってもらおうか」と考える前に、「少し楽になった?」と聞ける場があると、返ってくる話も変わりそうです。
実は、早く終わった時間で、前日の積み残しを片づけていただけだった。あるいは、少し余裕ができて、やってみたい仕事を考え始めていた。本人の話を聞くまで、表に出てこないことがあります。
時間が減ったという結果だけでは、その人の一日がどう変わったかまではわからないのですね。
せっかく仕事が早くなったなら、その変化を一緒に喜べるといい。次の仕事の話も、休む余地の話も、どちらも遠慮しすぎずにできるといい。空いた時間の使い道には、その職場がどんな働き方を大事にしたいかが、少しずつ表れる気がします。
YRでは、AIの取り入れ方だけでなく、そのあとに残る仕事や時間の使い方も一緒に考えます。便利になったのに、なんだか忙しさが変わらない。そんな引っかかりも、相談の入口になります。
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